生きてゆく
秋葉竹



暗く寒い夜を越えて
たどり着いた黎明
乾いた涙のあとは
叫び声の痛みの残骸

今日まで生きてこれた
それだけでも心は褒められていい
雪崩れ込む悪夢の記憶を
消し去ることまではできないから

遠くから射し込む光は
小さいけど純白の翼のようで
忘れられない痛みさえ
やさしく抱きしめてくれるだろう

きっとふたりともの痛みが
混ざりあってとても悲しくて
けれどそのとき聴いた掠れた吐息が
あまりに美しすぎるから

やわらかくあたたかい朝日を眺めて
両手を広げて大きく息を吸い大きく息を吐く
生きることを諦めることも簡単だったけど
でも正しくはないと知ってるから

この道を生きてゆく
この世界で生きてゆく
この終わりかけのときを生きてゆく
この人と………生きてゆく









自由詩 生きてゆく Copyright 秋葉竹 2022-08-08 21:26:17
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