オスファハンと盗賊ヨラン(九)
おぼろん

「それは出来ない。ライランテの諸国家では、内政干渉は禁じられている」
「それは平時の場合でしょう。今もしや、再び戦乱が起きたとしたら?」
「それはない。アースランテもファシブルも、今や戦いをする余裕はない」
「では、あなたは何を恐れているのですか?」盗賊ヨランが問う。

「世界の破滅だ。それはエインスベルによってもたらされるかもしれない」
「彼女がそのような、悪魔じみた存在でしょうか?」と、ヨラン。
「そうだ。エインスベルの魔法石が弾け飛んだ、
 その理由をお前は知っているか?」オスファハンが問う。

「いいえ。わたしは戦いには参じていなかったので、存じません」
「魔法石、いや、その大元である魔法素子に、秘密があるのだ。
 お前はそれを知ってはいまい」オスファハンはため息をついた。

盗賊ヨランが身を乗り出して言う。「その秘密というのを、教えてください」
「いや、これは魔導士ウィザムのみに明かされるべきことだ。
 そして、その秘密を知るにもある種の資質が必要となる」


自由詩 オスファハンと盗賊ヨラン(九) Copyright おぼろん 2022-07-07 16:52:02
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