オスファハンと盗賊ヨラン(八)
おぼろん

そこは、地下室のような場所だった。辺りは薄暗い。
しかし、盗賊ヨランには暗視の能力があった。
その隣で、エイミノアは逡巡している。
「ここは、きっと牢獄のようなものでしょう」ヨランが言う。

「いったい、何が起こったのだ?」
「オスファハンは、ヨーラ・テルと転移魔法を同時に使ったのです。
 衛兵たちは、わたしどもが死んでいると思っているはずです」
「ということは、……衛兵たちには聞かせられないことがあるということか?」

ヨランはうなづく。そして、石の扉を押して、オスファハンが入ってきた。
「ずいぶんと待たせていただきましたな。オスファハン様」
「わたしは忙しい。今はライランテ戦争の後始末をしているところだ」

「ところで、エインスベル様は今でもあなたの弟子なのですか?」
「そうだ。不詳の弟子だ。今は暗黒面に落ちてしまっている」
「でしたら、彼女を救ってください。オスファハン様」ヨランが言う。


自由詩 オスファハンと盗賊ヨラン(八) Copyright おぼろん 2022-07-07 16:51:05
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