オスファハンと盗賊ヨラン(十)
おぼろん

「エインスベル様は今、虹色の魔法石による結界によって、
 リーリンディアの監獄に封じ込められているのです!」
ヨランは勢い込んで言った。その急な変化に、エイミノアも圧倒される。
「どうかわたしに、虹色の魔法石の秘密を教えてください!」

「虹色の魔法石か……」オスファハンは答えるのを躊躇っているようだった。
「お前はその話をどこから聞いた?」
「リーリンディア監獄の監守である、リグナロスからです」と、ヨラン。
「……あれは、盗まれたものなのだ」オスファハンは言葉を継ぐ。

「本来、虹の魔法石は、政治的な意図によって流用されるはずだった。
 しかし、政治的な取引の寸前、それは何者かによって盗まれた」
「それは、祭祀クーラス……」ヨランは息を呑む。

「そうかもしれない。今となっては、誰がそれをなしたのか、誰も知らない。
 表向きは我が国で採取されたことになっているが、
 虹の魔法石とは、本来幽冥界ハーレスケイドでのみ採れるものなのだ」


自由詩 オスファハンと盗賊ヨラン(十) Copyright おぼろん 2022-07-08 17:00:49
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