宇宙ピンボール
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人が巨大な鯨を畏れるように
鯨も群れる人を憂い
人が鳥の歌を採るように
鳥も人の言葉に憧れる
真ごころよりも研かれた小石が
現実を左右する効果を慥かめ
星々の絡みあう指ですら
少しづつ結びを解かれているのだとしても

細胞のように
土はうまれ替わり
蛹らのように
海は呼吸する
きつい戒めを守る粒子
明るい虚空のうぶ声を反射し
バルジは勿論のこと
耀の芯まで回転させる
石炭袋のにぎり拳には
未来からの電報の束
私たちもまた
立派な宇宙人なのだから
撥条から弾かれ穴に嵌りたまに役を並べ
みるみるコインごと吸い込まれてゆくけれど
飽きもせず自分の身体を撃ち出す
遂に誰も聴かない
谺するファンファーレ

そうして千億の炎を賭けて旅する
より深い辺縁に棲むという
想像上の生き物との再会だけを夢見
不恰好な姿勢で
髭にレンズパウダーなんかくっつけ
笑顔で泣きながら
怒りつつあやす
きみがぼくを憎むように
ぼくもきみを愛するだろう
何もかも
気ままに振る舞う
この巨大なピンボールの盤上で



自由詩 宇宙ピンボール Copyright soft_machine 2022-05-22 21:15:33
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