ファシブルの裏切り(四)
おぼろん

時間はまた遡る。マリアノス・アリア・ガルデは、
王宮の玉座にあって、沈黙を貫いていた。
元老院の代表である、シェリル・アーネストが厳粛な口調で報告する。
「元老院での決定によって、わが軍はアースランテへの侵攻を決定しました。

 すでに、アースランテの南辺にある、カゴリス、アジャス、ロールエルデは、
 わが軍の制圧下にあります。これに国王のご裁可を賜りますように」
「わたしの意向は無視ということだな。しかし、元老院が決めたこととあれば、
 仕方がない。アースランテへの侵攻について、採決を下すとしよう」
 
「ありがたき幸せに存じます。今後ともファシブルが、
 マリアノス様のご意向に沿いますように」シェリルが世辞を述べる。
「我のことは気にかけなくても良い、すべてはファシブルのためにあるように」

ファシブルの国の南方には、広大な砂漠が広がっている。そのため、
敵国と言えばアースランテ一国だったのである。しかし、今後は、ラゴス、
クールラント、ヒスフェル聖国をも相手にする必要がある。マリアノスは悩んだ。


自由詩 ファシブルの裏切り(四) Copyright おぼろん 2022-05-12 22:58:12
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