アースランテの潰走(四)
おぼろん

「うむ、今は本国の指示を仰いでいる場合ではないな。
 現場の判断が最優先だ」ゴゴイス・リーゲは厳粛な口調で言う。
「それに、ラゴスには民兵どももいるのだ。その数がいかほどか。
 おそらく、三万人かそれに近い民兵どもがいるだろう」
 
「本国への使いはいかがいたしましょう?」
「偵察で功を発揮した兵士、あれの名前はなんと言ったか?」
「シュティンガルト・デイでしょうか?」
「そうだな。そうであると思う。奴は優秀な兵卒らしい」

「今後の昇進も考えたほうが良いかもしれませんね。
 あるいは千人隊長の任に就かせても良いかと存じます」
「それはまだ話が早い。奴は伝令や偵察役として有能なのだ」

「それを手放すことは惜しいということですね?」
「そうだ。そなたは物分かりが良いな」ゴゴイスが言う。
「ゴゴイス様の側近を長く勤めていますから」ヤロスは頭を下げた。


自由詩 アースランテの潰走(四) Copyright おぼろん 2022-05-11 22:44:46
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