レ・スペラスとの戦い(七)
おぼろん

エインスベルやアイソニアの騎士の活躍によって、
オークはその戦う気力を徐々に失わせていった。
もちろん、黒色槍兵団あっての話である。
ガイジェスの丘は、人の赤い血、オークの緑の血で染まった。

オークの族長、フィリポ・アル・ゲルデは、
ついに撤退を決意した。
ディペルスの街は、再び平穏を取り戻す。
エインスベルは、あらゆる街を愛していた。ディペルスの街も。

いつか、アドスの竜がディペルスを襲っていたころ、
エインスベルは誓ったのだ、この小さな街を守り切ろうと。
オークの軍勢がいかに強くても、人の輪には勝てないのだ。

フィリポ・アル・ゲルデは、歯ぎしりをしながら、
レ・スペラスの国へと帰った。まだこれからも、
この国の安泰は保たれないだろう、と。そのためには、戦うしかない。


自由詩 レ・スペラスとの戦い(七) Copyright おぼろん 2022-01-03 14:22:51
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