それがたとえ正しくないとしても
秋葉竹




世界は、苦しんでいる
暗い闇夜で、苦しんでいる


だれも
悪くないのに
だれも
生きたいだけなのに
世界は、血塗られている
いまこのときも、血塗られている


そしてなにものでもないけれども
私はそれを許そうと思う

だれが悪いとか
だれが嘘つきだとか
だれの心が汚れているかとか
問い詰める
ことはせずに
それを
ただ、許そうと、思うのだ。

でも、それは間違っていて
たぶん、傷つき、泣き、怒り、
そして、憎んだほうがいいのかもしれない。

それが
ちゃんとした正義だとしても

それで
私じしんが
正義でなくなるのだとしても

つらいけど、耐える。


なぜって、
みんな知ってる。

憎しみは、
憎しみしか、
産まない。


ねぇ、世界?
いつまでも、ごめんなさいと
謝りつづけるしかないけれども



世界を
苦しめてるのは
たぶん
私たちでしょ?


でも、世界。
私はあなたが苦しんでるその荒野で
泣きながらでも、
崩れ落ちながらでも、
ねぇ、世界?



──世界は、苦しんでいる
──暗い闇夜で、苦しんでいる



でも、そんな過去も現在も未来さえ
許してしまおうと思うのだ。



私たちは世界を苦しめて
生きつづけるしかない
それよりほかに
生きる未来をもっていないという

哀しみが、哀しくて、

哀しくて、哀しくて、
哀しくて、哀しくて、

私は何度も何度もしゃくりあげながら
胸をかきむしりながら

でも、すべてを許そうと思う

なんて愚かな!と。
何様目線なのか!と。
罵られても、
それこそ
憎まれても、かまわない。


それを許そうと思う
許そうと思おうと、思う。


ごめんない。
それが、生きてゆくということみたいなので


恨まれても
怨まれても
罵られても
憎まれても

それが、生きてゆくということみたいなので









自由詩 それがたとえ正しくないとしても Copyright 秋葉竹 2021-10-16 17:01:49
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