三と常
木立 悟
月に降る
塵の息を踏み
無言 震わせ
空のはざまが膝を落とし
再び立ち上がる
脚をくすぐる布の闇
二 三 五 六と言葉を拾い
左足と右手の小指の寒さ
手のひらに湧く緑の熱さ
逆さの空が覗き込む
爪と爪と爪の夜
水紋は金 水紋は銀
暗い朝の陽のにおい
昼から午後の雨の指
花を見たさに水辺を離れる
緑の裏が風にたなびき
空の裾を暗く染め
零と二を零と二をくりかえす
無数の冬の亜種に囲まれ
もう少しでもう少しで到かない
常に常にそこに在るもの
雨 花 風
何も無さのやりとり
やがて満ちる遠さ
痛みと感謝
けだものと金緑のはざまの
見えない花の径をゆく
自由詩
三と常
Copyright
木立 悟
2021-05-16 21:32:45
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