終わりは 居る
木立 悟





眠りの手からこぼれては
目覚めの音に降りつもる
光むく横顔から生まれ落ち
此処がまだ午後と知る


真上より
少し北に下がる月
うろうろと
川を流れる


空の渦に指を立て
ひとつは結び
ひとつはむらさき
尖った芯に伝わる哀れ


小石の 長い長い影
月を隠す 淡い笑み
散るはふちどり
散るは ひとり


空をむさぼる枝の中心
残されたわずかな鳥の円
雨と陽の入り混じる
ひとつの手のひら


冬の径に投げ出されたまどろみ
人工の風の音が
夜になり夜になり
音は白く 疾い


まぶしさにまぶしさを描くまぶしさがあり
鱗になり翼になり消えてゆく
輪の内側の輪に廻り
煙の傷と立ち昇る


凍った光を踏み砕き
匂いも息もかがやかせ
終わらぬ歩みのその先に
終わりは終わりは終わりは居る


















自由詩 終わりは 居る Copyright 木立 悟 2021-04-13 10:53:21
notebook Home 戻る  過去 未来