夜更けに
こたきひろし

夜更けには
私からもう一人の私が抜け出して
アパートの部屋から出て行く

すっかり暗くなって
静寂に飲み込まれた市街へと
彷徨い始めた
まるで夢遊病患者さんだ


コンビニの明かりが見えた

もう一人の私はおにぎりとお茶が飲みたくなって
コンビニに入った

手に取って持ったまでは良かったが
財布が見当たらない

あっ?
置き去りにして来たもう一人の私が
部屋に脱ぎ散らかした
ズボンのポケットの中だ

もう一人の私は
手に持ったおにぎりとお茶を棚に戻すと
慌てて
もう一人の眠ってるアパートの部屋に
駆け足で戻った


自由詩 夜更けに Copyright こたきひろし 2021-05-15 06:46:41
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