おじいさん
オイタル

ぼくのおじいさん

座ったままで移動するぼくのおじいさん
落ち葉の中に 腹這って
なかなか伸びないキャベツの長さを
指で計って書き付ける
ぼくのおじいさん
秋の散歩道を彩るぼくのおじいさん
への字の口で

ぼくのおじいさんはもうはるか昔
空の縁(へり)に細かく散らばったのだが
時々こうして寂しく吹き降りてくる
ぼくのあちらこちらに吹き溜まって
胸先をまさぐっている
ぼくの臆病をなぞっている

ぼくのおじいさん
ときおり細長く滑り込むぼくのおじいさん
ときに木の根に塒を巻くぼくのおじいさん
ペン先を舐めながらぼくの卑怯を
それから納得を
手早く折り畳んでうなづく
ぼくのおじいさん

流し台の下を
川は素早く流れる
お風呂のドアが冬に抜ける

おじいさん


自由詩 おじいさん Copyright オイタル 2021-01-05 23:19:22
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