陽炎の歌
秋葉竹
くらい頰を引きつらせて
うつむく麦わら帽子、
伸びた首すじに圧しかかる
逃げられない、罪の意識。
戦場に投げ捨てられた
100を超える銀縁眼鏡たち、
鋭く回転する、音を立てて飛ぶ
裏切りの見えない弾丸。
刻まれる時を止める悪意と
呪詛を捻じ曲げる激しい息遣い。
なだれ落ちる悲しみを音符にし、
世界にただひとつの醜い掠れ声で
疼く自傷の手首を、胸の裡に隠し
歌い上げるのだ、陰鬱な陽炎の歌。
自由詩
陽炎の歌
Copyright
秋葉竹
2020-07-22 02:31:58