産ち落とす
ゆるこ

子供を産んでしまってから
私の悲しみも羊水と流れていってしまったようで
鏡の中の自分に呪いをかけられている日々から
いつの間にか救われてしまっていた

陽光の、
緑の丘に置き忘れた腐った右足

誰かへの罪が、ふと
真綿で首を包むように静かに締め付けはするものの

奇跡の子供たちの笑い声に
掻き消されてしまっている
私が愛せなかった、とりこぼした分の愛を
陽だまりのように与えてくれる

その度に、
自分の事を殺したくなる

あぁ、今すぐ空が落ちて仕舞えばいい
放り出してほしい
この不甲斐ない残像を
消し飛ばしてほしい

またひがめぐれば
私の影はまた一つ薄くなり
最後にはすべて、吸い尽くされてしまうのだろうか

そんなことばかり、考える夜


自由詩 産ち落とす Copyright ゆるこ 2020-05-16 00:21:23
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