ヒメウツギの妖精
丘白月

ヒメウツギが
今日は結婚式よと言ってる
森のシャンデリアのように
白く明るく温かな
お祝いの言葉のように

ヒメウツギが
あなたの心を見ている
森の石鹸のように
白く光っている
くすんだら洗いなさいと

ヒメウツギと
歩いた道は遠い昔のこと
涙の匂いがした
湿った森の風
白いハンカチが咲いていた

ヒメウツギの
香りに誘われて夢をつぶやく
何処かに置いて来たと
これを抱いてお帰りと
新しい夢をもらう

ヒメウツギが
白く卵のように咲く
卯の花だよと妖精が言った
卯月生まれの花だよと
一緒にもう一度生まれようかと


自由詩 ヒメウツギの妖精 Copyright 丘白月 2020-04-24 22:44:40
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