夜景を横切るワクワクさん
ふじりゅう

ここちよい地面をひとしきりおよいだ
たいくつな夜景にパトカーが唸る
さいしょからさいごまで冒険から遠ざけられ
君の苦労話が自己満足のタン壺の中へ
君が笑っても泣いていても妖怪にしかみえない
君がもし腕を引きちぎって夥しい血液に沈んでも
みたことないリンスで髪を流していても妖怪
全て自己満足の彼方・・・・

蝉のぬけがらと死骸を追いかけて
なにかを共有して満足しあっていた9歳の頃の若武者
どこまでも時計の針の先端の尖り具合が忘れられない
教科書はとっくに燃やし尽くした
知らぬ人と目があっただけで通報される世界で
君は自分の権利の保障ばかりアジテートしながら
平然と信号無視を決め込む退屈な夜景ばかりに
今日もパトカーが走る度ワクワクさんが降りてくる

もし人が人を自由に想像できるとすれば
全ての人類がどうせ奴隷ばかり量産する彼等は忙しそう
君のせいであふれんばかりに満ちたタン壺と
凹みきった笑顔が眩しいけれど・・・・


自由詩 夜景を横切るワクワクさん Copyright ふじりゅう 2020-02-20 17:14:01
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