優性と劣性を兼ね備えてヒトは人になれるのさ
こたきひろし

娘よ
お前の遺伝子に
私の劣性が伝わらないかと危惧していた
訳じゃない

そんな事気にかける余裕なんてなかったよ

私は働く事に必死だったんだ
働く事で得られる生活の糧
そこから涌き出る養分を
家族の為に

しかし家族の為は
結果として私自身の充実と安らぎの為でもあった事を
私は否定できない

娘よ
お前はその成長の過程で気づいたね

家庭内の家族同士の思いやりやいたわりにも
見せかけがあって
演技があって演出が存在する事を

そしてそれは
いかなる人間の関係にも発生するって

それが
お互いの信頼感や愛情の
重要な鍵になるって

娘よお前はすっかり大人になって
母親と
父親と対等になって

それを超えた人間に
なってしまったかも知れないな

それは親子が
いずれは離れ離れになっていく事を
意味にしてるんだよね


時が来れば
血の鎖も
儚く脆く
切れてしまうものだ

家族なんて
この世界に産まれ落ちた時の
偶然の集合に過ぎないんだから


自由詩 優性と劣性を兼ね備えてヒトは人になれるのさ Copyright こたきひろし 2020-01-11 07:21:51
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