Nosferatu
墨晶

  夜になると訪ねてくるものがある 尾形亀之助



それは聞いたことのある話だ

よくある事なのだろう



 赤い毛布にくるんだ身体を横たえ

 泥濘どろに擬態していると

 それらは何時からか

 部屋の隅

 もしくはわたしの傍ら

 盲闇に溶けるように紛れ込んでいるのだ 


 即ち

 痙攣する黒ずんだ大腿であり

 鳥肌立つ両尻であり

 首をすくめた性器であり

 濡れ毛が張り付く腹であり

 乳首が陥没した湯気沸く片胸である


 月も星座も滅んだ夜の航海に似た酩酊ねむりのさなか

「 ナゼオマエハ 」 と

 現われたそれぞれは無言で呟く


 何時だってわたしは

 唯 安息が欲しいだけなのだ





 Wer ist daだれだ ?





馬鹿気ているか?

その通りだ
 
 
 


自由詩 Nosferatu Copyright 墨晶 2019-11-20 21:41:39
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