終焉の地に
日比津 開

ついに辿り着いた
我が終焉の地にー
たぶん、ここで僕は
棺に入り、火葬場へと向かう

いまここに着くまで
根を切られた浮き草のように
流れ流されて
一体幾つの地を
さ迷ってきたことか?

故郷はもはや遠くにあり
帰れる場所ではない
ましてやここに来るまで
安住の地はいくら探しても
どこにもなかった

孤独死という大きな波に
このまま飲み込まれて
片隅のニュースにされるのか?
それとも統計の数字に一を加え
名も知らぬ死者に数えられるだけか?

そんなことは、どうでも良い 
死んだ後のことは
心配しないことにする

ただ、まだ僕にはいつどこで
どのように死すか
選択の余地が残されている
そのことを覚えておこう

残された日々はどのくらい?
明日終わるのか
春秋を幾つも重ねるのか
知る由もない

はっきりしているのは
ここを終焉の地とすること
もうほかに探すことはない
このことだけは決めている 

だから、ただでは死なない
最後に意志の力を示し
精一杯抗って
残りの人生を送ることにする


自由詩 終焉の地に Copyright 日比津 開 2019-10-01 04:34:00
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