くるくる魔法
ふじりゅう

意識不明の君は
あっち向いてホイを繰り返している
専門学校はまだ始まらないのかい
柔らかなほっぺをつねってみた
誰も知らないことにした

悪いとはわかっているけど
動かない乗り物にずっと乗り続けられない
分かってはくれない人民は
手と手を繋いで笑顔を交わしていた
夢か現実かどれでもないココで
静かな生命だけが共通していた

指でくるくる回した
魔法を唱えたかった
君は一途だったけど
綿のように軽かった
憐憫の装置が僕を巻き付ける
どこにも行かないでと ぴこん!ぴこん!
魔法を唱えたかった
指で眉間の上をくるくる
君は一途だったけど
何故か綿のように軽い腕
憐憫の装置が僕を巻き付ける
可哀想な地球のかたほとりで
静かな生命のままで

意識不明の君は
たゆたうゆめの中であっち向いてホイ
どうかどこにも行かないで欲しい
僕はそろそろ静けさにも飽きたけど
夢でも現実でもないココが
ガラスのようにぶち割れることを想って
ただどうしようもなく横の部屋で
軽口で談笑してたから豆腐をぶつけたい
眉間の上の方を指でくるくるした
魔法を唱えたかった
さよなら


自由詩 くるくる魔法 Copyright ふじりゅう 2019-09-18 15:36:51
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