乾いた花
ふじりゅう

気化する
ゆっくりと踏み絵の
貴方を穢す
気化する自我
川辺でじゃぶじゃぶ米を研いでいた
あなたたちもいずれ
鼻をつんざく恋の刺激臭で
狂気に走るよ
誰もがみな飢えた花

てんとう虫を払う
自由な器官を持たない
それは生まれながら
臆病の重りを背負っているから
不可抗力で
ヒラヒラと葉を揺らす私は
気ままな季節風に頼って
茎をあちらへ―こちらへ―
モンシロチョウが私を吸い取っていく
砂漠の花は皆必死に吸い取られにいく
私はあくまで不可抗力で吸われていく
気化するだけの自我
誰もが皆狂気に走る ほら
自転車で滑走するきみたちも
マリーゴールドの香り

私達 みな一人一人が
何かしら 誰かしら 大切な
希望一杯の崇拝者を踏んづけて
臆病の重りを背負う受動体
誰かに頼らねばバイバイも出来ない
飢えた蝶々は狂気の注射を打つ
誰もがみな乾いた花なんでしょう
違うかい


自由詩 乾いた花 Copyright ふじりゅう 2019-09-10 17:19:51
notebook Home 戻る  過去 未来