たくさん泣いた
オイタル
たくさん泣いた
たえられなくて
夜まで泣いた
他人みたいになって
たくさん泣いた次の日も
朝から風が吹いていた
酔いを残した胸の中
むやみに風が吹いていた
帰らぬものの足元に
得られぬものの胸奥に
花や木の葉が降り積もり
道は痩せ 失せていく
蝉時雨の降る庭を掃く
はかれぬものの数知れず
泣いた涙をそのままに
風の巻く そのままに
忘れては
思い出す
泣き足りぬことを思い出し
そのことを 泣く
自由詩
たくさん泣いた
Copyright
オイタル
2019-09-02 06:04:11
縦