六月の家族
オイタル

朝飯は夕べのうちに炊きあげた
 玄関の埃も掃きだした
 窓も閉じた

出発する
雨の中を出発する
明日の晴れない空に向けて

 訳も聞かずに怒鳴り散らした
 昨日の後悔をポケットに入れて
 目も合わさずに出発する

見よ 田園を
右手に続く青い情熱
広がる光る田園の
毛羽立つ雨の無言

見よ 森を
行く手を遮る風の住む
濡れ群れる怪しの影
語られぬ木々の歪み

 理解のないのはお互いさま
 言ってわからんものに
 聞いてもわからんだろう
 まずは朝飯を食うのが正解だ

出発する
私たちは出発する
明日の晴れない空に向けて
出発する雨の中の私たちは
まだ幼い
まだ幼い六月の家族である


自由詩 六月の家族 Copyright オイタル 2019-07-09 23:37:59
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