怪獣の手
オイタル

妻の手が怪獣になっている。
怪獣になって伸びてくる。
伸びてきて ぼくをかじる。

妻は向こうでぐうぐう眠っている。
昨日のことも明日のことも忘れて
一生懸命眠っている。

ぼくは怪獣の手と戦って
仰向けに倒れる。
ぼくは無残にふとんの陰に倒れる。

妻は気づかないで眠っている。
怪獣の妻の手は
三十年をひとっ飛び。



自由詩 怪獣の手 Copyright オイタル 2019-09-07 16:28:25
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