ふじりゅう

気まぐれな茜がぽつんとある
ビルの眩い窓群と添い寝したのだろうか
届き来た真南風と溶け込んだ私が
なぜだか コンクリートの上で見ている
産まれたばかりのコンビニ袋も
真っ赤な陽を孕み
あかんぼうのような面持ちで
その情景の構成物と化している
さわ さわ … さわ さわ …

踏まれ尽くし色の消えた都会
働き虫はせっせと東西を駆ける
死んだ都市から僅かに逸れれば
焼き魚の匂いとだんらんの声
安住を探してまた 炭火を加熱す
コンビニで陳列された
栄養バランスの崩壊したおにぎりを
みるみるうちに着火剤とする
私達は摩耗した蒸気機関の
メンテナンスを常に忘れているらしい
青ペンで少しずつ 少しずつカレンダーに
積もらされ続けるバツ印は
私の体内時計をジリジリと
追い詰める役割しか持たない

気まぐれに重なり紡がれる茜
私では遠く敵わない熱が心地良い
どこかで嫌われたのか コンビニ袋吹き飛ぶ
さよなら

気が付けば 瞬く間に 躊躇なく 戦争の警鐘響く
なるべく地雷を避けるけど
隣でまた一人 この世界から消滅する
西から空爆だ
東から敵軍だ
帰宅難民達が
燃える男の目の前で写メっている
ぱち ぱち … ぱち ぱち …
北から風が吹き
残りカスを浴びた
この世に遺しようのない身体が
スマホを帰る場所にしたがっていた

気まぐれな茜はこの場所にしかない
何故か立ち尽くす
エンジンを止めている
同じ風を掬って飲む
無駄な身体
無為な爪痕
東西は枯れた
ぺこぺこ音をたてるペットボトルの
中身も真っ赤な液体
を 飲み干す
メールを受信した
その瞬間 私の元に 現れた littlegirl が

炸裂


自由詩Copyright ふじりゅう 2019-08-02 17:48:26
notebook Home 戻る  過去 未来