エイリアン
ふじりゅう

つまらない くだらない話で
てんとうむし降り立つ
君に言われたくはないね
何の変哲もない自宅の庭で
真っ赤な炎落とした
せめて最後に
あんなことや
こんな形で 理由をこじつけて
せなかをさすりたかった
昔よりちょっと大きくなった日差しが
綺麗な刃物みたいだ
指でくるっと呪文を唱えたら
太古の日記が出てきて
毎晩独りで読みふけっては
残りカスの志を食べる

君のまつ毛をいっぽんだけ
ぷつんとちょんぎって
細胞培養マシーンで
ゴトンゴトン 待つこと何時間
だって 約束交わしたじゃない
それは果たさないとね
だけど やっと完成した君は
目の前を横切るてんとうむし

ずっとみていたよずっとみていたよずっとみていたよずっとみていたかったよ

トロルに殺されてる間にどっかへ消えちゃった

continueをクリックしたと同時に
ビックリ箱が鳴り響いた
あたしは あたしの為に
生まれたわけじゃないのに

春先のベッドのようなジョウロで
花の代わりに水をぶっかけた
君は存外ぶすっとしていたから
お気に入りの文庫本のページ全部破いて
すっからかんの〈ホン〉をくれてやった
君は泣き出した
君は泣きじゃくった
私の炎は 決して消えやしないのに
どうして君は生まれてきているのか

つまらない くだらない話で
誰かを抱きしめて謎の男と交尾した
不思議な味のする彼の唾液飲まされ
炭のようにつまみ出された恋は
真っ赤なてんとうむしの羽が
よぎる度にやっと何してんだって思う
つまらない くだらない話が
本当につまらないと思った春のじょうろの先っぽで
移り変わる花の種類を燃やすこころ落とした庭先
つまらない くだらない話が
後ずさりしながらあなたを志一本に変える
レンガ造りの地面 あみだくじのように辿ったら
財宝のある洞窟あると信じてた

この病室からは謎の庭も見えず
どこか知らない場所にいる
胃の中は変な情熱が悶えて出されたがってる
そうか、自由になればいいんだ
ここから君との旅が始まりそうだね
JAZZが遠くから流れ来る汚らしい家も思い出した
外の喧騒は 私を迎えてくれそう
もう掃除機で吸い取っちゃったのに
エイリアンが私の腹を破って出てきたから もういくね


自由詩 エイリアン Copyright ふじりゅう 2019-07-28 01:46:29
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