ねがい、その心の扉に風が吹くなら
秋葉竹


心の罪は

どうしようもなくて

冷たい風が吹いている
そのとき失った人の名前は

この街の駅のプラットホームに
うずめておいたよ
なんといったか

どうしようもなく

恐れられる
キツイ目つきした蛇を
忘れられずに
まるで再生を繰り返す
失楽園みたいな門にすがる

どうしようもなく

この森の中で
この葉っぱの色は新しい名前を
世界に伝えてくれるかもしれない


猫の話は、しないし

人の話も、しない

ぼくらは手をつないで
笑って
走り続ける
すべてに感謝して

どうしようもなく


街の灯が
まだ図書館には
届かないからって
好きなのか

わからない本を読む

どうしようもなく

あたりまえのこの曲の歌詞は
優しくて温かい

すべてを終わらせて心の傷を撫でる

ならそれは
最後に笑いたくなる見栄を
忘れずにいさせてって

お願いって

夜の街は
暗く淫猥で
重くて両手にあまる

あえぎ声を
聴かされて

きぼうの星が影を作った清らかな家で
湿った悦びに打ち震え
箒星の夜空を見上げるのだろう

いらない
いらない
なにもいらない
から流れていく星の数を
数えさせて

お願いって





自由詩 ねがい、その心の扉に風が吹くなら Copyright 秋葉竹 2019-07-23 22:17:57
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