正しい横顔
カマキリ

獣に潜む
重ねた月から指が泳ぐ
次の言葉を
無かったことにしますか

銀紙で包んで
しまい忘れた声の在り処
耳を澄ましても
体のコードが伸びるだけです

見せたいものは何もないのに
手が離せない

地獄より低くなる歌が
水面に跳ねて続けば
抱き合う影と影のすきまで
そのあくびにくっついて
夜が来る

振りほどいた痺れと
消したい夢の中で
あなたの正しい横顔が
甘い印になって
狭い視角になって
沈んでいきます


自由詩 正しい横顔 Copyright カマキリ 2019-05-04 21:25:15
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