反抗期には
こたきひろし

反抗期にはどうしても素直になれない自分がいた
ある日
母親と些細な事で口喧嘩した

ひ弱な体型だった私は
さすがに暴力まではエスカレートできなかった

「煩いんだよババァ」罵ってしまった

すると母親は一瞬顔をひきつらせた
それから悲しそうな目をして黙ってしまった
それを見て私も何も言えなくなった

反抗期には何でもかんでも壊したくなった
反抗期には綺麗に咲いていた花を踏みにじった
反抗期には母親の財布から金を盗んだ
反抗期には教科書に卑猥な落書きをした
反抗期には世界中を敵に回してもかまわないと思った

反抗期には暴走した
反抗期には手首にカッターの刃を当てた

反抗期には
反抗期には
反抗期には

だったのに
今はすっかり年老いて

こころがやたらひねくれて
片方の足が捻れて
取れてしまいそうな
うす汚い老人
になっていくけど




自由詩 反抗期には Copyright こたきひろし 2019-04-28 06:00:06
notebook Home 戻る  過去 未来