春のパン祭りー愛犬に捧ぐー
玉響

さあ、バゲットを食べよう
あの頃のように分けあって食べよう
ほら、焼きたてだよ
たくさん、たくさん焼いたよ
大好きだったあの匂い
ちゃんとキャッチしなよ

今年はあんこを買い忘れたから
かわりにとっておきのスプレッドを
たーっぷり乗せようか
きっと美味しすぎてびっくりするよ

こんなん食べたら
帰りたくなくなっちゃうんじゃないかな、と思ったけど
だったら、そのまま居ればいいさ
べつに帰らんたってええがな

好きなだけ食べて
好きなだけ居座って
飽きたら帰る準備をすればいいよ
帰るときはお持ち帰りを背負わせるし
足りなくなったらいつでも焼くよ

来年も
再来年も
ずーっとずーーっと
変わらずバゲットを焼くよ

たとえ
見えなくても
逢えなくても
抱きしめられなくても
毎年この日だけは
二人でパンを食べようね
そして、いっぱい思い出話をしよう


自由詩 春のパン祭りー愛犬に捧ぐー Copyright 玉響 2019-04-20 02:27:30
notebook Home 戻る  過去 未来