それとはなしに
るるりら

さいごの さくらが さよふけて
まんげつ まんまん みちている
ほおづきのような ともしびを
つなげて うたを うたいましよう

去ってしまいそうな 桜のいろを
きえてしまいそうな かおりの時間を
若葉も きっと もっている
やがて 落ち葉となったとしても
桜の気配は することでしよう

さくらは さいごのさいごまで
さくらのまま
その葉は大地に かさなりかさなり
朽ちて葉脈だけとなった冬の日は
レース編みのような繊細さで
いとけない生きもののために
やみから悪意を濾すのでありましよう

さくらは さいごまで すなおなままに
たとえ枝を もぎとられ炎に焼かれたとしても
えもいわれぬ恍惚の燻製となって
たましいに そっと かたりかけるのでありましよう

それはそれは それとなく
天にものぼる やさしさで

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即興ゴルコンダ(仮)投稿作品


自由詩 それとはなしに Copyright るるりら 2019-04-20 00:39:24
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