レッスン1
ツノル


雨の日に哀しげな表情を見ていると何故かそそられる。
その豊かな胸と腰。泣き顔とは裏腹にボリューム感のある容姿も愛おしい。
彼女を公司様から引き離してやろう。
そのまま奪い連れ去って監禁したなら縛り上げて犯してやろうと思う。
片側から後光が射してくる。それほど澄んで晴れわたる遠い空だ。
扉が空いて鳩が飛び去る。地上から眺めるとなんとも狭窄に満ちた世界ではないか。
‥ひと思いにわたしを殺しなさい…
こころでつぶやいたのを聴いた。
衣服を剥ぎ取ると、その豊かな乳房は萎れ、肉づきのよい腰と大きな尻も左側に下がり傾いていた。
気が触れた、おまえは鬼だな。いや、実力を示したという点では魔王にも値する‥。
ふふ、これを機に世の中を支配できるかも知れない。
ひょっとして、この名前だけは歴史に遺るでしょうか?
おや?これはこれは愚にもつかぬことを。主は、ただ名を残したいという思いだけで誘拐したのか‥。
平地では酒池肉林と騒ぎ立てる。すでに花芽は開こうとしている。
どうやら、素晴らしい季節の前ぶれだと言いたいらしい。
ともすれば強い風が黄味色を帯びてきて、薄紫の香りに目頭が熱くなる。
表向きに庶民的な喩えと、過ぎた思考は過ちだらけなのだという。
ふるい氷河は流れ、いまはさわやかに通り過ぎるのを見過ごすしか方法もない。


自由詩 レッスン1 Copyright ツノル 2019-03-17 00:49:28
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