園庭にて
ひだかたけし

久々に訪れた病院の園庭は、
十数本の桜の木が
無数の赤い蕾を膨らませていた。 

その生命力は、
春の大気に漲り震え
園庭という枠を獰猛に
突き破っていく不穏さを含んでいた。

膨らみゆく無数の蕾に凝集する生命力、
その生命力があの盛大な開花を
無音不可視のうちに準備しているのだ。

見えるもの
見えないもの

両者が作用し合う〈異・様な現実〉を、
私は久々に訪れた病院の園庭で〃感じて〃いた。


















自由詩 園庭にて Copyright ひだかたけし 2019-03-16 23:17:32
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