燃やす
ひだかたけし

全ての喪失は流れいき
乾き切った胸底に
氷食地形の
研磨された岩石の如く
哀しみの蒼い窪みだけ
鋭く冷たく穿たれる

(愛は
私の中にある
思いを伝達しようとする
すべての努力を
根こそぎにして去っていったから
これからはもう
私の伝達する
言葉は全て
死滅していく他ないのだ)

言葉の砂漠に行き着くために
私はこれから言葉を燃やす
数千数万数億と
記憶の面を掠めてゆく
銀の氷塊、放ち散らし
韻律の艶かしさに
時に眩暈しながら
詩の行を刻んでいく
詩の言葉を掬っていく




自由詩 燃やす Copyright ひだかたけし 2019-01-06 15:01:16
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