輝いていたポストマン
イオン

届くとわかっているものしか
届けていないのでさびしいですと
簡易書留を届けたポストマンが話した

インターネットが普及する前は
メールと言えば郵便物だった
ポストマンを見かける度に
ドキドキしていた高校生の私は
年末年始に郵便配達のアルバイトをした
自転車で想いを届ける側として喜ばれ
やりがいを感じ始めた雪の日
郵便物が川に浮かんでいる事件が起きた
配達中の落下事故と思われたが
同じアルバイトが配達しきれなくて
川に捨てたと告白した

今では電子メールの送信ボタンを押す毎日
配達しきれないということは無くなったが
読みきれないメールが受信箱で溜まっていく
電話で催促されたものしか読まないのでは
あのアルバイトと同じだと頑張って読むのは
ポストマンにドキドキしていた気持ちを
失いたくないからだ


自由詩 輝いていたポストマン Copyright イオン 2019-01-06 13:36:39
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