夜明け前
そおっと生きる

大きな災(わざわ)いが襲い

今まで煌々(こうこう)と

道を照らしていたと思われた

しっかりと根を張っていない

ちゃちな移ろう灯りは

悉(ことごと)く消え去り

人々は

混乱し

絶望し

沈黙する



その中で

闇を好む奴らは肥え太り

陽に当たると消え去る

宝と思っているものを眺めて

上手くいったと薄笑いを浮かべながら

連日

尽きることのない

汚染水の如き

祝杯をあげる





ただ

一面の荒野の空には

何もなかったかのように

静かに

誰も登れぬ

雪山のように

星々が

輝いている




風も

鳥も

おし黙るような時が流れ

古(いにしえ)の明るさを取り戻した

北辰(ほくしん)に導かれるように

光る傷を抱いた

神の意志を聞く者達が

一人



一人



永い眠りから

覚めようとしている






自由詩 夜明け前 Copyright そおっと生きる 2019-01-04 20:43:45
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