ト なって12 孤独 
ひだかたけし

とっくに
日が暮れてしまった
今、正に
俺はこの白い部屋で孤独を貪る
完璧な自由

完全な孤独
冷える今宵に
エアコン壊れ
ますます真っ白に
ナッテイク

行き場なし

自ら選んだ
地獄だ
絶望も希望もない
あっけらかん
とした
ジゴクだ
清々として
ゼイゼイとして
時刻は七時半を回る

昼間、
師走の街を
老婆が駆け抜けていった
ビーチサンダルに剥き出しの足
夏物のワンピースを着て
物凄いスピードで
駆け抜けていった
甲高い叫びを上げながら

老婆は寂しかったのだろう

籠る、
俺は徹底的に籠る
日本語を忘れてしまう迄に
籠る
吃る
吃驚するほど
吃り
籠る
夕にベランダからみた
巨大な富士に
うっうっうっ
トナッタヨーに
吃り籠る

孤立ではない
孤独である
独り在る
井戸の底に
ヨイショヨイショと
降りて行く

(底はコーラと逃げていき
名指され得ぬモノ
声を言葉を吃らせる)


とっくに
深夜になってしまった
今、正に
俺はこの白い部屋で孤独を貪る
完璧な自由

完全な孤独
冷える今宵に
エアコン壊れ
瑠璃色の地球
沈黙の宇宙に
浮かんでいる


















自由詩 ト なって12 孤独  Copyright ひだかたけし 2018-12-28 21:02:19
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