第九の呪い・ベートーヴェン
st

年末が近ずき 第九のシーズンがくると

いつも 憤りを感じる話がある


それは

楽聖ベートーヴェンの第九に

呪いがあるという話だ


ベートーヴェン以後の

有名な作曲家たちの多くが


交響曲第9番を作曲した後に

死亡したため


交響曲第9番まで発表すると

その作曲家は呪いで死ぬ

という噂が流れ始めた


ベートーヴェンは第10番の構想を

練っている段階で逝去したが

その心残りが怨念となったという


ベートーヴェンが

そんな呪いをかけるわけはなく


むしろその偉大な作品たちに

影響を受けた作曲家の畏敬の念が


第九交響曲をこえてはならないと

潜在的に働いたのではないだろうか


私はベートーヴェンが創りだした

嵐が好きだ


はげしい熱情に興奮し

強い意志に感動する


それらが繊細な美しさのなかに

存在するという奇跡に驚く


今日もまた


交響曲第6番「田園」の嵐を 

ピアノソナタ テンペストの嵐を聴くために


レコードの溝に針をおとす





自由詩 第九の呪い・ベートーヴェン Copyright st 2018-10-10 09:50:23
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