毛玉
ミナト 螢

遠い約束が僕たちを分ける
右側と左側に並んで
触れたら引っ込める指先の会話
ニットの毛玉を掬って投げた

白い扉で隔てながらも僕たちは
うまく距離を置いたね

思いが溢れてることを
見て見ぬ振りして過ごした季節が
君にとってどんなに辛くても

最後の言葉をぐっと飲み込んだ
僕の努力は優しさのつもり

金平糖みたいな白い星が
君の黒いコートに着陸する頃

そこだけ宇宙が引き合う偶然
僕はもう君に近付けなくなる

肩を落とさないようにリュックで
体の軸を決めて歩きながら

猫背を辿った僕たちの爪に
同じ星の輝きを見ている


自由詩 毛玉 Copyright ミナト 螢 2018-10-10 10:06:42
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