分け与えるなんて
こたきひろし

時に
他人の親切や思い遣りが煩わしくなる
そんな日は良い人になれない自分がいて
どうしても優しい笑顔がつくれない

理由もないのに心がビョウキになってしまう事
きっと誰にでもあるだろうけれど
そんな日は
食欲がわかない
洗面台の鏡を覗き込みたくもない
そんな朝は顔に張りも艶もなくて
まるでタマシイの抜け落ちたヒトになってしまっているんだろう

孤独に苛まれるのはけして嫌いじゃない
私はちいさい頃から家族の暖かい団欒の中でも
その中に溶け込めない子供だった
そのせいか
心が
真底冷めた子供だった
可愛いげのない可愛いがられない子供だったと記憶している


そして素直にちょうだいを言えない子供だった
ちょうだいを言えない癖に
一度貰ったら
独り占めに執着し
分け与えるなんて
出来ない子供だった


自由詩 分け与えるなんて Copyright こたきひろし 2018-09-09 00:18:47
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