forte
ミナト 螢
音程のない日常の悲鳴を
脱ぎ捨てたTシャツで掴まえて
染み込んだ声を空へ放つ時
光の花束を受け取っていた
音感のある生活は疲れて
傘の先端を伝う雨音の
心を語るまで帰れなくても
十分に歌ってきたはずだった
音楽の生きる道を選んだ
胎動が始まる声を濡らして
渇いた喉から心へ届く水が
透明な輝きで細胞を照らす
強く生きたいと願った朝に
生まれ落ちるひと粒のメロディに
刻まれている声の模様たちは
1オクターブ上の夢を見る
自由詩
forte
Copyright
ミナト 螢
2018-08-26 09:51:13