ひとり 言葉
木立 悟







髪と髪が触れ
影になる
風のなかの粉
砕けて光る


ざわめきを登りつめたところに
廃線の花 水に浮く葉
ひとつひとつの滴に残る
まばたきの水紋


打ち寄せる星が星を生み
背を押されたものたちは
果ての果ての果て とどまることなく
曲と直を伸ばしつづける


暑い夜の赤子
空の巨きなひとさし指
ひまわり ひまわり
いくつでも いくつでも ほしいだけ


街のために街を追いやり
砂と砂と砂と光
村を囲む村と花
ほぐれては飛び 月おおう花


悲しくかがやく水の先に
寂しくまたたくまたたきがあり
その向こうの傷の径へは
名を失くしたものしか進めない


埃のなかから音は現われ
やがて色と光に消える
言葉はひとり あらゆるものになり
あらゆるものから ひとり離れゆく
























自由詩 ひとり 言葉 Copyright 木立 悟 2018-08-26 08:49:34
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