胃が痛くて
こたきひろし

強い酒を飲む習慣が身に付いてしまった。
何の事はない。仕事と職場の人間関係にストレスを感じてしまい、強靭とは言えない精神が悲鳴をあげたからだ。
アパートに一人暮らしをしていたから、誰にも咎められなかった。
飲んだのはもっぱら洋酒。何かで割らずにストレートでやった。外では飲まずに自分の部屋ばかりで飲んだ。
胃をやられてしまうのは自然の理だった。
或る日酔いつぶれて寝てしまったら夜中に激しく痛み出した。
じっとしていられずに闇雲にアパートから飛び出して歩き出していた。
夜中に一人で相当な距離を移動する間に雪が降ってきた。
真夏だった筈が季節は急激に移ろい秋を飛び越えて冬になってしまった。
雪は瞬く間に降り積もり街はその下に埋もれてしまった。
私は豪雪のなかに消息を絶たれた。
すべてはアルコール依存による人生の末路であった。


自由詩 胃が痛くて Copyright こたきひろし 2018-08-13 05:32:20
notebook Home 戻る  過去 未来