シースルー
青花みち

平和なひとにしか着られない服があるらしい。あたしも着たい。「似合わない」の散弾銃を浴びたい。身体中ぼこぼこに開いた穴から零れるのがうつくしい宝石なら生きた価値を見出せる気がしている。証明させてよ。フリルがあなたたちのためじゃなかったこと。うつくしいからだ。うつくしいたましい。

あの子が捨てたフリル。あなたたちが捨てさせたフリル。女の子は妖精で、みんな妖精で、男の子も妖精で、あの子も妖精だったのに。ダサいの一言で世界が終わるような切実さに首を絞められていた。あの子を殺した妖精を撃ち落としている午前5時の夜明け。ピンクが燃えているね。こんな日にはシースルーのワンピ。骨まで透きとおるあけすけな喪服を。あたしのたましいの色を見せるわ。フリルでかたどったピンク色の、あたしのうつくしいたましい。


自由詩 シースルー Copyright 青花みち 2018-08-13 01:00:45
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