徒然に~白樺の林の中で
ヒヤシンス


 聞き覚えのある旋律に耳を澄ますと白樺の林が見える。
 よく冷えたアールグレイを静かに飲み干す今日の朝だ。
 旅から帰った私の半身が私を書斎へと誘う。
 白紙のページに厳かに書き下す旅日記。

 人のいない冬季の別荘地。
 冷気が頬を伝うと思い出すあの夏の日。
 季節が人の感情を支えると感性が鋭くなるようだ。
 私は私の心をじっと見つめる。

 白樺の凛とした佇まいに清らかになる心。
 細い幹から天に広がる細かな枝は感情の襞のようだ。
 穏やかな朝にたおやかな天女が舞い降りる。

 白樺の林が好きだ。
 空想の翼を広げて新しい今日を創造する。
 美しい夏を待ち侘びながら、私はストーブに薪をくべる。
 


自由詩 徒然に~白樺の林の中で Copyright ヒヤシンス 2018-03-10 03:45:46
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