美誠を築く
ヒヤシンス


 巡る季節の儚さは闇夜に隠れた月のよう。
 一人娘の待つ家に抱える苦悩の薄化粧。
 橋の欄干飛び越えてその身を投げる決心も
 ひと時待てば揺らぐもの。
  
 支えはあるか?いや、ない。
 貯えはあるか?いや、ない。

 夢の芝居を見た後で香る蠟梅悲しくて。
 白く咲く花、心に秘めて、
 現世と来世の吊り橋を静かに渡る男あり。
 一人娘の写真を眺め涙で滲む夕間暮れ。

 夢はないか?いや、ある。
 未練はないか?いや、ある。

 心に期するものあれば黙して生き様見せてみろ。
 夜に沈む訳あれば心が酔うまで酒を飲め。
 刻み込まれた傷あれば納得ゆくまで曝け出せ。
 生まれてきたのが愛ならば生きて己の誠を行け。

 真実は誠の掟。
 誠実は真の掟。
 生きて笑え。
 美誠を共に築く為。


自由詩 美誠を築く Copyright ヒヤシンス 2018-03-10 04:53:37
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