金曜の夜
木屋 亞万

とてもねむい
まぶたを閉じれば
くらいついている意識もはがれ
夜の底にしずんでしまうだろう

だがわたしはねない
だって金曜の夜だもん
たのしいことがたくさんある
まだまだいろんなことができる
電車が終わっても
お店が閉まっても
まだまだ夜は終わらない

あくびがとまらない
あたまが重くなってきた
ふとんがわたしをよんでいる
やわらかなふとんにくるまり
めをとじて深くいきをすれば
一瞬でねむりにつけるだろう

だがいいのか
起きたらもう土曜日の朝だ
週末の終わりの始まりだ
いましばらくは咲き始めた
週末の華を愛でるべきだろう

楽しそうな声がする
おいしそうなにおいがする
そんななか何もせずに帰るのか

だが楽しいとは何なのだ
身体は何を求めている
酒か食事か性欲か
いやただただ眠りたい
やわらかくあたたかな場所で
起きる時間を気にすることなく
ただただ眠りつづけたい

とてもねむい
ねるしかない
めをとじて
よこになるまえに
意識はとうにとろけてる


自由詩 金曜の夜 Copyright 木屋 亞万 2017-10-20 22:48:09
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