伏し目がちな彼女
opus

聞こえるのは細やかな笑い声
見えるのは頬の赤み
伏し目がちなその瞳は
一体、何を考えているのだろう

コーヒーカップを持つと
カタカタと音が鳴る
笑顔が引き攣り
目蓋が痙攣する
声は上ずり
こめかみから汗が流れる

マヌケなトランペットの音に
薄暗い曇り空
焦げ茶の草むらに
紫色の芋虫
そんな事ばかり話してる

言い訳じゃないが、僕はそれで満足なんだ
それでもいいと思ってる
でも、君の伏し目がちなその瞳は
一体、何を考えているのだろう

外は雨が降っていて
窓ガラスに水滴が流れる
薄暗い灯と静かに流れるjazzの曲
この瞬間が永遠に続けばな
そんな風に思いながら
僕はジーパンにコーヒーをこぼす

君は笑いながら
おしぼりを渡してくれる
伏し目がちな瞳が
僕に向けられる

「ねぇ、君は一体、何を考えているんだい?」
「私はね、」

ウェイターが皿を落とす
彼女の唇が動かされる
客の1人がけたたましく怒りを叫ぶ
彼女の手が僕の手に重ねられる
子供が泣き叫ぶ
彼女の瞳が僕を見つめる

君の着回しが好きだ
君の卑屈な物言いが好きだ
君の声が好きだ
君の優しさが好きだ
君と話すのが好きだ

聞こえるのは細やかな笑い声
見えるのは頬の赤み
伏し目がちなその瞳は
一体、何を考えているのだろう


自由詩 伏し目がちな彼女 Copyright opus 2017-04-08 10:40:23
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