酸素が薄い
opus

空気を吸おうとするんだけどうまく吸えない
フォークを使おうとしても使えない
絵なんて描けない
文なんて尚更だ
酸素が薄い
薄過ぎる

その道の先にはよくわからないものがゴロゴロしているんだ
それは急に唾を吐きつけたり
時には殴ってきたりする
すごい怖いんだけど
道は続いていて
その先に行かなくちゃならない

絶望が浮遊する
深海の幽霊イカのように
悲しみが木霊する
洞窟の残響のように

目がよく見えなくなってきた
声がうまく出せない
手が震える

もういっそ、殺してくれ
ここで終わりにしてくれ
でも、そうは行かない

過呼吸になりながら道を歩いて
日が沈んだら
布団に潜って
イヤホンをつけよう
とても小さな僕だけの世界で
美しい夢を見るために

でも、そこには君がいないから
僕は毎朝起きるんだ


自由詩 酸素が薄い Copyright opus 2017-04-02 22:09:21
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